2023年の応募作品380点、そのすべて時間をかけて観させていただきました。その印象はとても明るい作品が多かったということです。特に色彩についてはその特徴が顕著にみられました。テーマは「ぼくのわたしの夢の自動車」ですが、そこで自動車がどのように画面に配置されているか、そこにも開放感のある描き込みがみられました。新型コロナウィルス感染症の感染防止対策として自粛ムードが続いていました。今ではその行動制限も緩み、子どもたちの活動もそれまでとは異なり活発になったはずです。そんなことが絵画表現にも現れていたのでしょうか。今回選出された作品からは、「夢の自動車に乗って、どんな場所へ出かけようか！」そんな思いが伝わってきます。選出されなかった作品の中にも素晴らしいものがありました。教育の場、保育の場、療育の場などで子どもの表現を支える指導者や支援者がいかにかかわっているのだろうか。そんな人との対話が確かめられるものでした。楽しんだ時間や努力した経験が蓄積された素晴らしい作品の数々を拝見し、心が豊になった気がします。公募してくださった皆様本当にありがとうございました。

2023年6月14日　
倉敷芸術科学大学
油画五十嵐研究室 アトリエにて